「結局どんなゲームやってもOWが面白いってなっちゃう」OW2部門インタビュー : タイトルへのこだわりを捨てない理由とは

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2022年10月5日、「オーバーウォッチ2(OW2)」がサービス開始となり、他タイトルで活躍している選手や有名配信者など、数々のeスポーツプレイヤーたちが配信に大会に、熱狂している。しかし、かつてOWは競技シーンの衰退を経験した。特に日本では直近2年間で国内大会は0個。大会に出るには、回線状況で不利を強いられる海外大会への出場を余儀なくされていた。そんな中、唯一プロチームとして活動を続けてきたDONUTS USG OW部門。シーンをもう一度盛り上げたい、そんな想いをもって活動を続ける選手達に、インタビューを刊行した。

 

OW2リリース! プロの感触は?

– ついにOW2がリリースされましたが、プロ目線からのOW2を触ってみての感触や印象はいかがですか?

Nico:そうですね、まずOW1の6vs6から、OW2は5vs5になってタンクがそもそも一人減りました。ゲームの内容、ゲーム性がかなり簡略化されたっていうところから、OW2のプレイの敷居が下がったりとかゲームのスピードが上がったっていうのは感じてますね、今のところ。

– スピードというとOW1よりも1試合の時間が短くなった?

Nico:いや、1試合の時間は変わってないんですけど、OW1のときはかなりゲームスピードというか、なんだろうその、誰か、なんていうのこれ(笑)

mint:1ウェーブのスピードとか?

ウェーブ(Wave):オーバーウォッチにおける1つの集団戦のこと。
オーバーウォッチは集団戦を繰り返す戦術が主流となっている。

Nico:そうそう、1ウェーブのスピードとか、ウェーブっていうと難しいけど

mint:一回対面するまでの長さも長いし、戦う時間も長いし、みたいな

Nico:OW1ではそんな感じだったけど、OW2ではもうお互いすぐに対面し合って、すぐ終わるんです。

– 本当に試合展開が早くなったの一言に尽きるというか。

Nico:その一言ですね。(笑)

– 初代OWからOW2へリニューアルした変化の中で、みなさんが個人的に一番嬉しかった変化を教えてください。

plankton:

スタンとかが大幅に減ったっていうのがタンクとしてめちゃくちゃ嬉しいです。OW1って一回スタン入ったらそのーまた次のスタンがチェーンされて(つなげられて)どんどんどんどん、なんていうんでしょう... おもしろくない。

一同:笑笑笑

Nico:タンクからするとね(笑)

plankton:本当にそうなんですよね、僕は初心者の友達にOW1と2の違いを説明するとき、「面白くない要素がいろいろ減った」ってって言います(笑)

mint:10秒くらい動けないでそのまま倒される、みたいな

Nico:あはは(笑)ほんとにうまくいくとね。

mint:そういうこともあるからね。

Qloud:僕もいいですか? 他のゲームであれば割とある機能だと思うんですけどOWは今までピンの機能が無くて。

–え、そうだったんですか ?!

Qloud:そうなんですよ。で、OW2になってピンさせるようになりましたし、場所だけじゃなくて敵にもピンがさせるようになったんです。誰かが相手のキャラにピンを指すと、そのピンが勝手に動いてくれるので、「ここに敵がいるよー」みたいなことがわかりやすくなったなって思います。

– へえーーーっ!それはめちゃくちゃでかいですね。

Qloud:これめちゃくちゃでかいですね。

Nico:クイックやランクだと、報告するためにボイスチャットが必須でしたけど、OW2になってからはピン機能のおかげでそういうのはしゃべらなくても伝わるようになりました。
いままでは裏から敵がきてもボイスチャットを使わなかったら報告できなくて、味方が倒されていたんですけど、それをピン一個で解決できるっていうのがかなり大きいですね。

– 今まではそれで裏から攻められて、タンクがいいようにされて、面白くないゲームになってたってことですね(笑)

Nico:そうですね。あと、自分からも一個あって、OW2になってバトルパスとか新しいスキンとかイベントが予告されてるんですけど、そういう初心者上級者問わず楽しめるようなコンテンツが発表されていくっていうのがいいと思ってます。

OW1のときっていつイベントが来るとか、何ヶ月後にヒーローが追加されるとかが全く分からない状況で、プレイヤーは新しいコンテンツがないから、OWをやる理由が、クイックマッチかランクマッチを回すことだけ、みたいな感じで。

かっこいいスキンを集めにいく遊び方はなかったんで、そういうバトルパスとかスキン、イベントとかが定期的に開催されることで新しい風が吹く、っていう面でOW2はかなり感触がいいですね。

– なるほど。確かに他のゲームでもスキン集める目的でゲームする人もいますもんね。

 

国内唯一のプロチーム、メンバーの来歴

– ちなみに、みなさんはリリース当初くらいからプレイされていると伺っていますが、チームから声がかかってプロになった、みたいな感じだったんですか?

Nico:そうですね。

mint:なんかプロの知り合いから「枠空いて、人がいなくなったから、トライアウトみたいな感じで来てみない?」ってとこから始まって、とか。僕はいろんなチームにいたんですけど、アマチュアで6人でやっててプロになったこともあるし、他のなり方も経験してるしって感じですね。

Nico:でもみんなアマチュアチームは一回経験してるよね?なんだかんだ。俺もアマチュアチーム経験してるし。

mint:OW1の時はプロになるのがかなり難しかったしね、実際。詳しくはわかんないけど。

nico:この質問むずかしいですね。(笑)、本当に経歴がそれぞれすぎるんですよ。いまのUSGのメンバーは、それぞれ別のチームでOWの競技シーンをやっていて、OWから逃げなかった人達が集まってるんですよね。

このメンバーが合流した経緯から話すと、2020年初頭にKSGとMihawkがもともと「Connect Gaming」に所属していて、その後、Nicoとmintが加入し活動を開始しました。

そのあと、諸事情でチームが解散することになったときに「この先、アマチュアチームで続けていくか」「OWをやめて別の競技シーンへいくか」をみんなで話し合ったんですよね。
話し合いの結果、「この先アマチュアチームで続けて、拾ってくれるプロチームを見つけよう」という結論に至り、「Garnet」という名前のアマチュアチームを始動させました。

アマチュア時代にも海外大会に出場して実績を作りつつ、色々なプロチームに声をかけた結果、USGに加入させていただいた形です。
その後USGになってからはqkiさんとPlanktonさんが同時に加入だっけ?

qki:いや、自分の方がちょっと早かった。

nico:USGになってからはqkiさん、Planktonさん、Qloudさんが加入し、今に至るって感じですね。
面白いのが、みんな競技シーンで戦ったことがあるし、もともと、日本のシーンにいろんなチームにいた人を集結させてる、みたいなチームなんですよね。QloudさんはもともとGreen Leavesにいたし、qkiさんとかmintさんはD81 Fortunaっていうチームでしたし、ドラクエ方式でどんどん人が追加されてる(笑)OW最後の生き残りを、集結させたみたいなチームです(笑)

Qloud:アベンジャーズじゃん。(笑)

– 海外チームで活動していた方もいらっしゃるんですか?

Nico:それは、Planktonさんだね。

Pankton:あの時は、えーっと韓国人2人と中国人1人とマレーシア人1人っていうとても特殊な...

– ええ、すごい、(笑)

Plankton:すごいなつかしいですね.、なんかわちゃわちゃしてましたね、VCが。

– VCは英語ってことですよね?

Plankton:基本的に英語でしたね。

– 偏見ですけど、英語でわちゃわちゃってなるとかなりうるさそうですね(笑)

Plankton:そうですね...(笑)メインサポートやってたマレーシア人の方が、めちゃくちゃ早口だったんですよ。

一同:笑

Plankton:もう英語で「わー」っていって、僕以外誰も理解してないんで、僕が通訳してっていうおもしろいシステムがありましたね。いろいろと難しいところはあったんですけど、でも楽しかったです。本当に。

– 本当にこう、紆余曲折あってOWアベンジャーズとして集結してるみなさんですが、プロ生活で壁にぶつかったこととして「日本シーンとPacificシーンが無くなった」って回答いただいてます。これはどういったことでしょう?

Pacificシーン:日本、台湾、タイ、シンガポール、などの太平洋地域を指す
(独立している中国、韓国を除く)

Nico:はい。まず「日本シーンが無くなった」っていうのは、日本のOWシーンが徐々に衰退して、日本の大会が本当に開かれなくなってしまったということです。最後にワールドカップがあったのが2019年かな?最後の最後が。

mint:そんくらい。

Nico:2017、18年あたりはまだ大会が開かれてたんですけど、2019年初めくらいにはもう日本でそのプロチームでやってるところがほんとに無くなっちゃって。それ以降は日本で活動していくことは不可能なレベルで日本の大会が開かれないし、競争相手もいない状況でした。

そもそものプレイ人口の減少で日本シーンの維持が苦しくなったのかな、っていうのは思いますね。Pacificシーンが無くなったっていうのは、元々は今も出場しているContendersっていう2部リーグのPacific地域があったんですよ。それが、何年だっけな、何年までやってた?あれ?

mint:20年(2020年)かな、20年ぴったしだよ。

qki:ちょうど最後のContenders Pacificに僕とmintさんが「D81 Fortuna」で出てたんですけど、大会終わった2週間後くらいに当時あったContenders PacificのDiscordで急に「もうつぎからはContenders Pacificやんないよ〜」って言われて。遂にPacificシーンも終わったなって感じでしたね。

一同:笑

mint:その時はその、それ以外に出る大会もないし、もう、それがなくなったら俺ら何すんのつぎから、みたいな。そんな感じでしたね。

Nico:Contenders Pacificは日本チームが目標にするところではあったよね。Contenders Pacificに出るとか、優勝するとか。でもそこが無くなっちゃうと、もう選択肢としてOverwatch Leagueか、別リージョンのContendersに行くしか無いんですよね。それで今USG Overwatch部門はオーストラリアのContendersに出場してるんですけど、そういう選択肢になってくるんですよね。

今のOverwatch Leagueに出てる選手も何人かはContenders Pacificの出身で、韓国や中国のContendersよりもちょっと下、くらいで全然Contenders Pacificのレベルは低くなかっただけに残念でした。

– それで21年から1年間くらいはオーストラリアのContendersに出ていらっしゃると。

Nico:そうですね。はい。

mint:20年とかはそれぞれ別のチームだったので、21年くらいから一緒になってオーストラリアのContendersに出てますね。

– さっきまでは困難に直面した経験を伺いましたが、今度は逆にプロ生活を振り返ってでもいいですし、USGとしてでもいいので、OWを競技シーンでやってて印象に残ってることってありますか?

Nico:うーん...印象か...みんなありますか?

mint:他のゲームもそうかもしれないですけど、Contendersに出てた時のギリギリの戦い、ですかね。OWって99%対99%みたいな、本当にギリギリの試合の末の勝ち負けがあって、他のゲームじゃ味わえない楽しさがあるんですよね。三本先取で、二本取られてて、三本連取して勝つような試合はみんなVCで大騒ぎみたいな。そういうのがほんとに楽しくて。それが一番印象に残ってますね。当時のVCも残ってるんですけど、たまに見返したりします。

Nico:それでいうなら、Contenders オーストラリアの昇格戦のときもギリギリだったよね。

mint:ギリギリだったっけ?

Nico:ギリギリでかった気がする。決勝。あれギリギリだったよ。

mint:そうだ、覚えてるわ。あれギリギリだったわ

Nico:あれmintさんが抜いた(倒した)から勝ったんだよ。ヘッドショットで。

mint:その辺はほんとに他のゲームじゃ味わえない...

qki:ドーパミンが...

mint:「ウォォオオオオォオ」ってなる。

Nico:そういう場面で味方が1pick取っただけで脳の幸せ成分がもう...(笑)

mint:勝てるって思った瞬間になんかもう...(脳の幸せ成分が...)どうなんだろう、他の競技シーンの人もそうなのかもしれないけど

Nico:OWは休む時間がないんですよ。なので、試合中に緊張とか落ち着く時間もなくて、決勝の最終局面とかだとみんな自然と声デカくなるみたいな。もうこれはOWあるある。

mint:他のゲームだと、プレイヤーを集中させるために、倒されたひとは喋らない方がいいみたいな、結構緊迫した場面は静かなボイスチャットになることが多いと思うんですけど、OWは本当に真逆で。

Nico:全部報告するみたいなね。

mint:「全部言え」みたいな感じ。倒された人こそ喋れみたいな。

Nico:mihawkさんとかはないの?

mihawk:俺〜?俺はベンチからみてることがおおいので、みんなが熱い試合をしてるところを見るのが逆に俺の中では興奮しながらみてるみたいな感じ、「頑張れー!」って。みてる方がヒヤヒヤするし、逆に勝った時は「ウォォー!」ってなる。

Nico:観戦視点だとね、敵のスキルも見えてるし、勝ち負けがわかりやすいしね。

mihawk:負けそうなシーンのときに勝ったりすると、「これ勝てるのやばあーー!」みたいな。

Nico:プレイしてる側からすると、やばい感じしないんだけどね。 

– 僕もUSGの試合を見る時は毎回緊張しながら見てるので分かります。ドキドキしますめちゃくちゃ。

 

見据える未来と、決意

– それぞれの選手で、楽しい場面も多くあると思いますが、やはりシーンが消えてしまったり困難なことがあって順調ではない時もあったかと思います。それでもOWプロにこだわり続ける決意をした理由はどういったものでしたか?

Nico:ずばり!

mint:『OWが一番おもしろいから』

Nico:そう、OWが一番面白い、結局そうだよね

mint:結局どんなゲームやってもOWが面白いってなっちゃう

Nico:実は、自分もVALORANTにリリースが発表されてから移行しようかなと思ってCS:GOだったり、VALORANTのベータだったりを割と練習してたんですけど、1、2週間くらいやってみたところで、「これOWのほうがおもれえな」ってなって(笑)移行しようかと思いましたけど、体がついていかなかったですね。どっちが優れてる、とかじゃなくて、自分はOWが合ってた、って感じですね。

mint:どのゲームも基本的には撃ち合いじゃないですか。まず撃ち合いで敵に勝たないといけない。1vs1負けたら負け。みたいな。OWは5vs5で戦うので、正直Aimがいらないみたいなシーンも結構あるんです。連携で倒してる時が一番気持ちいいというか、OWやめられなくなる理由なんですよ。

Qloud:わかる。OWでしか摂取できない栄養が...他のゲームでは摂れない栄養がOWには詰め込まれてて...OWやってるなーって思います。

一同:笑笑笑

Nico:それがね、大会だけじゃなくて野良の試合ですらあるからね。

mihawk:この前、OW1が終わってOW2が来るまで(メンテナンスで)1日何もできないみたいな時があって、苦痛でしかなかったっていう。

mint:まあでも本当に、OWが面白いからやってるってことですね。

–最高な回答ありがとうございます。

–最後に、これからOW2で定期的に大会やイベントが開催されていくかと思いますが、今、みなさんが目指す場所を教えてください!

Nico:まずチームとしては、今出場しているContendersや、それ以上の大会で日本のプロチームとして世界の大会で結果を残すことですね。結果を残すことで新しい世代のプレイヤー、チームだったり、OWの競技シーンに興味がない人も「OWの競技シーン見てみようかな」って思ってもらえたり、他の界隈の人にも「日本にも強いチームがある」ってことを伝えてもっとOWに注目してもらいたいです。そうする事で後のプロチームや次世代のプレイヤーが続きやすいようにはしたいなと思います。

Nico:
最終的な目標は、日本シーンをもう一度復活させることです。それは多分みんなの総意だと思います。

そのために、今はそれぞれシーズンオフとかでYouTubeや配信を積極的にやって、日本のコミュニティを盛り上げる動きをやっています。継続して今後も活動していくので、YouTubeとかTwichで動画見かけたら、是非視聴していただけると、僕たちとしてもモチベーションが上がるので是非、よろしくお願いします!

– 見ます。8枚くらいタブつけてメンバー全員分見ますね。

Nico:ふふふ(笑)

– 本日は質問に答えていただいてありがとうございました!

OW部門:ありがとうございました!

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